札幌 納骨堂 札幌市中央区 貸し室 納骨堂/クリプト北光
日本基督教団 札幌北光教会 日曜礼拝 木曜礼拝 牧師/指方信平、指方愛子



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◆権威ある言葉
「イエスはガリラヤの町カファルナウムに下って、安息日には人々を教えておられた」(31節)。その具体的内容は記されず、ただ「その言葉には権威があった」と記されています。「権威」と訳されている言葉は、ダイナマイトの語源である「デュミナス」。イエスの言葉には破壊力・説得力があったとか、威圧的で人に有無を言わせぬ権力的なものであったということではありません。その語る言葉が、まるで神ご自身が直接その人に迫ってくるような、人を生かす力ある言葉だったということです。その人の全存在を深く知り、愛し、赦し、祝福し、慈しむ神の真実が満ち溢れたていたのです。人々は、まさしく自分に告げられている神の言葉、福音として受け止めたからこそ、非常に驚いたのです。
◆関係に生きる
この会堂に一人の男がきて大声で叫びました。それは、この男に取りつく悪霊の叫びでした。「ああ、ナザレのイエス、かまわないでくれ」(34節)。「かまわないでくれ」と関係を拒絶しました。「悪霊」は、オカルトの世界の話ではなく、わたしたちの社会に巣くっている現実です。悪霊とは、人を神から遠ざける力、神から孤絶させる力です。悪霊は人々の中でささやくのです。「お前は神から忘れられている」「お前などにかまってはくれない」「お前は無価値である」と。そうして、その人を神の愛という事実から引き離し、心の目と耳を塞ぎ、孤絶の闇へ閉ざします。しかし、この時、主イエスは悪霊に「黙れ」と告げ、この男に関係していったのです。すなわち、「あなたもまた愛された神の子なのだ」と、まことに権威をもって福音を告げたのです。教会は、主イエスのように悪魔祓いのようなことができるわけではありません。手を置いて祈ればたちまち病気が治るというわけではない。しかし、本当に大切なことは、恐れや隔てを越えて他者に関係していくということ、そこで神の愛を告げ、これを分かち合うこと。
◆一人ひとりに手を置いて
続いて主イエスは、後に弟子になるシモンの家に行きました。そこで熱病で伏していた彼の妻の母親(しゅうとめ)を癒しました。この日がユダヤ教の安息日であり、治療行為も原則禁じられた日であることを思えば、主イエスがその定めを破って癒したという出来事がただ事ではないと分かります。主イエスはここで単に律法を破った、違反したというのではなく、苦しむ者の傍らに立ち、そこに寄り添い、手を置くこと、それこそが律法の精神であるということを体現されたのです。神ご自身が静かにその権威をもって迫っているのです。
「日が暮れると」(40節)と記されています。これは日没によって安息日が終わって新しい一日が始まったことを意味します。安息日には移動制限のあった人々が、この瞬間を待ちかねていたかのように、病人や悪霊に取りつかれた者を主イエスのもとに続々と連れてきました。「いろいろな病気で苦しむ者を抱えている人が」(40節)という言葉遣いは、病人本人だけでなく、その家族や友の存在が意識されています。身近な者の病気に家族として友として一緒に悩み痛み切羽詰まっている、その人々の姿がここにはあるのです。主イエスは、「一人ひとりに手を置いて癒された」(40節)わけですが、その手は、病人たちだけでなく、その家族や友の上にも置かれたのではないでしょうか。そして、「朝になると」(42節)とあるわけですから、きっとそれは夜を徹してのことだったのです。主イエスはそうして、一人ひとりの心と体の痛みに恐れに触れ、その命に手を置き続けてくださった。そのように、神様は、わたしたちの人生の闇の中で、耐え難い恐れ悲しみを覚える時、希望の朝を迎えるその時まで、ずっと手を置き関わり続けていてくださる方なのです。預言者イザヤは言いました。「彼は私たちの患いを負い、私たちの病を担った」(マタイ8:17)。この言葉が主イエスに実現していることを思う時、主イエスは、彼らに手を置いただけではない、その手は彼らを担ったのです。彼らのこれまでもこれからも、その生も死も、すべてをその体に背負って下さっているということなのです。
◆他の町にも
主イエスを捜し、自分たちのもとに引き留めようとする人々に対し、「他の町にも神の国の福音を告げ知らせなければならない」(43節)と言われた主イエス。その町の一つが、この札幌であると言えます。この地に生きる一人ひとりに関わろうとし、主が手を置いてくださっているということ、朝になるまでその一つ一つの命に手を置き、担い、背負ってくださっているということを、この地で130年を歩んできた札幌北光教会として伝えていく、また私たちの身をもって表していく、そのことをここからもミッションとしていきたいと思います。
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