札幌 納骨堂 札幌市中央区 貸し会議室 納骨堂/クリプト北光
日本基督教団 札幌北光教会 日曜礼拝 木曜礼拝 牧師/指方信平、指方愛子
>札幌北光教会/トップ >牧師紹介・説教 >名こそ流れてなお救いけれ
- テーマ
- 「名こそ流れてなお救いけれ」
- 更新日：2023年6月27日
- 2023年6月18日 聖霊降臨節 第4主日/置戸宣教協力 説教要旨
使徒言行録 4章5節〜12節 - 牧師：荒谷 陽子（置戸教会）
足の不自由な男性を癒した力の源はイエスキリストですと宣言して捕らえられたペトロは、こう言い放ちます。「この方こそ、『あなたがた家を建てる者に捨てられたが、隅の親石となった石』です」。隅の親石とは、建物の基礎の隅に置かれる大切な石とも考えられますし、アーチのてっぺんの真ん中にはめ込む要石とも考えられます。前者ととらえれば、私たちを下から支えてくれる石、私たちがしかと根差すべきところです。後者とすれば、私たちが目指すべき石、私たちを光で照らしてくれる石です。
では、私たちがイエス様に向かって伸びていこうとするアーチの片側であるとすれば、反対側にいてくれるのは誰でしょうか。ペトロの場合はヨハネだったかもしれません。でも、ペトロの癒した男もまた、ペトロの脇にすっくと立っているおかげで、権威者たちが何も言えずにいます。助けられた者が助けている――イエス様を真ん中にして、お互いに支え合うようになる――これが、イエス様の名によって起こる奇跡ではないでしょうか。
置戸教会は無牧師となった11年前、足の不自由な男のようにうずくまっていました。信徒伝道者として参りました私もまた、知識も経験も何もなくて、とても一人では歩けませんでした。そこへ、北光教会と琴似中央通教会が、ペトロのように手を差し伸べてくださったのです。でも、会堂建築という大きな課題に直面して私たちは改めて手を上げて、全国に助けを求めました。そうしましたら、北光教会の多くの方々を含め、おびただしい数の助けの手が差し伸べられました。驚いたのは、何枚もの振込用紙に、「励まされました」と書いてあったことです。献金を頂いて励まされるのは私たちなのに、です。「こちらは現住陪餐会員2名です。がんばってください。励まされました」。金額は2000円でした。涙が出ました。これがもし、ただ横っちょからひょいと渡して下さったのなら、千円札二枚に過ぎなかったのかもしれません。でもそうではなくて、上に向かって「主よ捧げます」と差し出してくださったから、要石のところでつながれて、祝福されて、双方に恵みが降りてきたのです。小さな教会だけではありません。大きな教会の役員の方から、お電話をいただきました。「この春から無牧師になり、牧師の机の上に山になった郵便物の処理が私に回って来て連日苦闘していたら、皆さんからの趣意書を発掘しました。過疎の村で、会員9名で新会堂建築…感動しました。山の中から出てきた一番の宝物でした」――これもまた、泣けました。募金の趣意書が宝物だなんて、あり得ない話です。立たせてもらう側の私たちなのに、要石が反対側を立たせるために、用いていただける――これが、主イエスの名による奇跡でなくて何でしょうか。今日の説教題、「名こそ流れてなお救いけれ」は百人一首からもらったもので、元歌は「滝の音は絶えて久しくなりぬれど 名こそ流れてなお聞こえけれ」です。イエス様の地上のご生涯はずっと前に終りましたが、お名前は今も生きて、世界中に流れて、救いをもたらしています。私たちのために十字架にかかられ、神様が私たちのためによみがえらせてくださったかたのお名前です。救ってくださらないわけがないのです。
なのに私たちは、委ねて安心することが苦手です。私は先日、ある心配事の助けを一心に祈り求めた直後、ゴミ出しに行きながらもうすでに、「どうしようどうしよう」と思い悩むうちにゴミ置き場をはるか行き過ぎてしまいました。苦笑いしてUターンし、祈り直しだ、と思って座りましたら、イエス様のこんなお声が聞こえてきました。「お前は、『み名』を何だと思っている？名はその人を表すのだよ。わたしのみ名は、わたしの力だ。わたしの知恵だ。わたしの愛だ。『み名によって』祈ったら、み名に委ねて少しは安心したらどうだ。わたしの知恵と力と愛に、期待しながら待っておれ！」
確かにそうです。「み名によって祈ります」という言葉には、期待がこめられてしかるべきです。私にはどうしたらよいかわかりませんイエス様、でもあなたのみ名によれば、私の想像をはるかに超えた、素晴らしいみ業が起きますよねという期待です。祈りの最後の「イエス様のみ名によって祈ります」という言葉をもう少し意識して、信頼と期待を込めて言いたいものです。
皆さんの人生においては、今どんなことが起こっていますか。うずくまって助けを待っておられるでしょうか。それとも、あの人を助けなければと思いつつ、なかなか手を上げられずにいるでしょうか。要石を信頼し、期待を込めて手を上げれば、きっと思いがけない人とつながれて、両方ともしかと立たせてもらい、思いがけない恵みに与って歩むことができると信じます。み名を信じ、期待して、み名によって歩くことができますように。
⇒ 前のページに戻る
