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- 「あなたも誰かのベツレヘムの星」
- 更新日：2023年1月16日
- 2023年1月8日 降誕節 第3主日 説教要旨
マタイによる福音書 2章1節〜12節 - 牧師：指方 信平
■星の導き
9節「彼らが王の言葉を聞いて出かけると、東方で見た星が先だって進み、ついに幼子のいる場所の上に止まった。学者たちはその星を見て喜びにあふれた」。彼らは、家の中に入って主イエスに見えたから喜びに溢れたのではありません。星の動きがその場所で止まり、「ここだ」と指し示しているのを見たことによって喜びに溢れたのです。ここに至るまでの彼らの長い旅には不安が伴っていたことでしょう。「これで本当に目的地までたどり着けるのか」「この旅にはちゃんと終着点はあるのか」「途中で星を見失ってしまわないか」と。しかし、ついに星が目的地への到着を指し示したのです。彼らは、自分たちが確かにこの星に導かれてきたことを喜んだのです。
彼らは、その幼子のことを本当の意味ではまだ理解していません。この幼子がもたらす神の救いについて何も知らないのです。しかし、彼らは導かれてこの方のもとにやってきました。このことは私たちと良く似ていると思います。私たちもまた自分で考え選んで教会にやってきたのではなくて、イエスがどなたであるかを本当には理解できていないまま、しかし、不思議に導かれてここに辿り着いた、そんな一人一人であったのではないでしょうか。そして今もなお、主イエスとの本当の出会い、更なる出会いへと導かれ続けているのです。
■あなたも誰かのベツレヘムの星
東方の学者たちは、星空を眺める生活の中からその星に導かれて、主イエスのもとへと導かれてやってきました。わたしたちもまた同様ではないでしょうか。降誕劇において、ひと際大きく輝く星は欠かせませんが、聖書には「大きな星」とは書かれていません。その「大きさ」は関係ないのです。わたしたちの生活の中に輝く大小様々な沢山の星が不思議によって、わたしたちは導かれているのかもしれません。
「今日も一つ悲しいことがあった。今日もまた一つうれしいことがあった。笑ったり、泣いたり、望んだり、あきらめたり、にくんだり、愛したり、そしてこれら一つ一つのことを柔らかく包んでくれた数えきれないほど沢山の平凡なことがあった」（星野富弘「日日草」）
わたしたちは、何か特別大きな経験によって主イエスのもとに導かれてくるというよりも、悲しみや喜びや、憎しみも愛があり、それらを包む数えきれないほど沢山の平凡な日々という星によって不思議に導かれているのかもしれません。何気ない日々の中にこそベツレヘムの星の導きはある。それらに不思議に導かれて、わたしたちはここにやってきた一人一人だと思います。クリスマスに4名の方が洗礼・転入会されました。信仰告白と証しの会では、皆さんが神様の不思議な導きに生かされてきたことをお話しくださいました。何気ない日々の中に、歩んで来たその一歩一歩に、この方々を導いたベツレヘムの星はありました。皆がそうです。日々の歩みの中に輝くベツレヘムの星に導かれると共に、時にそんな自分自身が誰かにとってのベツレヘムの星として用いられているのかもしれません。
■「ヘロデ」に帰るな
星に導かれ、主イエスのもとに辿り着き、喜びに溢れた東方の学者たちがいた一方で、新しい王の出現という知らせによって非常な不安に取りつかれたヘロデ王がいました。実に対照的です。王の地位を何としても守ろうとしがみついた人間の姿と、主の導きに自分を明け渡して生きる人間の対象的な姿がここにあります。東方の学者たちは、ヘロデのところへ帰るなとのお告げを聞き、「別の道を通って自分たちの国へ帰って」行きました。それは富や権力や名声に囚われた道へ、またそれらが失われる不安に囚われる道、自分だけを信じ自分のためだけに生きる道に戻っていくなということでしょう。主イエスの降誕を祝い、この年を歩み始める私たちの生き方、方向が示されているように思います。
■秘められた恵みを信じて
2011年に会衆工事が終わり11年が経過しました。しかし、この改修事業は終わってはおらず、今がその真只中であることをもう一度認識しましょう。そして、11年が経過する中で経年劣化が生じ、修繕が必要となっています。コロナで教会の活動が停滞している中、皆が揃うことが難しい中、それでも取り組んでいかなければならない大きな課題です。しかし、これがわたしの望むと望まないとに関わらず、担わなければならない業であるならば、私たちはそこに秘められている恵みを信じて、共にこれを担っていくのです。この営みも旅です。一緒に旅をしていきましょう。それがどんな旅になるのか、そこには希望も不安も沢山あるでしょう。でも日常の交わり一つ、祈り一つ、賛美一つ、聖書の言葉一つが、互いにとってのベツレヘムの星のように輝きとなって導いて下さるでしょう。
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