札幌 納骨堂 札幌市中央区 貸し会議室 納骨堂/クリプト北光
日本基督教団 札幌北光教会 日曜礼拝 木曜礼拝 牧師/指方信平、指方愛子
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■いつまでも新しい掟、新しい道
「あなたがたに新しい掟を与える」(34節)。これは「あなたたちに新しい道を与える」と読み換えても差し支えないでしょう。ここに弟子たちが、またわたしたちが、恐れ閉ざしていた扉を開き、復活のキリストと共に歩いていく新しい命の道が告げられています。それは、「互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい」という道です。
もう幾度も聞いてきた教えであり、新しさを感じないという方もおられるでしょう。しかし、ではあなたは本当にこの道を歩いてきたか?勇気をもって愛を選び取ってきたか?この道についてはもう何も迷うことはないか?と問われたならば、教会生活の長い短いに関わらず、皆が苦い表情をするものではないでしょうか。主イエスが与えられたこの掟(道)を、熟知している、決して迷わず進めると言える人はいないでしょう。その意味で、これは私たちにとっていつまでも「新しい掟」「新しい道」であり続けるのです。
■ついていくことのできない弟子
弟子のペトロが尋ねました。「主よ、どこへ行かれるのですか」「主よ、なぜ今ついて行けないのですか。あなたのためなら命を捨てます」。
主イエスは、十字架へと「自分を捨てて愛する道」を進んでいかれたのです。しかし、そこでわたしたちはペトロのように「主よ、どこへ行かれるのですか」と尋ねるのです。私たちは愛するという道において、主についていくことができないのです。心暗くなり、つまずき、あるいはこの道をなんとも細く狭い道にしてしまい、やがて「主よどこへ?」と見失ってしまうのです。主イエスの後を一生懸命ついていこうとするけれども、鶏が鳴くまでのわずかの間に、「知らない」と口にし、イエスについていくことを諦めてしまうのです。そして、扉に鍵をかけて閉じこもっていたのでした。それが彼らの愛の現実であり、またわたしたちの愛の現実であるということではないでしょうか。連日報じられる侵略戦争や相次ぐテロリズムについて聞くと、「互いに愛しあえ」など、所詮理想に過ぎないと思ってしまいます。対立と分断が一層深刻に思われるこの時、主イエスの言葉は私たちの中で空しく消えてしまいそうになります。愛する道を見失い、「イエスなど知らない」と、ついていくことを諦めてしまう。それが私たちの愛の現実であります。
■しかし、後でついてくることになる
「わたしが行くところに、あなたは今ついてくることはできない。しかし、後でついて来ることになる」。主イエスは、ご自身が進まれる「愛する」という道に、弟子たちがついてこれないこと、つまずき逃げ出してしまうという限界を見つめつつも、しかし、そんな彼らをみなしごとはせず、羊飼いとして導こうとされます。この時、「しかし、後でついてくることになる」と彼らの新しい命の始まりをも見つめておられたのです。そしてあの日、復活の主イエスは、部屋に閉じこもっていた彼らの真ん中に現れて、彼らに息を吹きかけ新たな道へと、新たな命へと遣わしたのです。
■イエスの息がかかった者
皆さんは、今日、主イエスの息がかかった一人ひとりです。それだけ主イエスが身近であるということです。否、「身近」という言葉では足りません。主イエスはご自身をわたしたちの内に吹き込まれたのです。「かの日には、…あなたがたがわたしの内におり、わたしもあなたがたの内にいることが、あなたがたに分かる」(14:20)と、共に聖餐に与りますが、パンと杯を味わう時、キリストがわたしの内におり、わたしはキリストの内にいるその見えない事実を確かめたいと願います。
「わたしがあなたがたを愛したように、互いに愛し合いなさい」。主イエスは、わたしたちの外側からそう語られるのではありません。わたしたちの真ん中に立って、わたしたちの内側から、「あなたが今、宿しているわたしの愛によって生きよ」、「わたしの愛によって互いに愛しあって生きよ」と言われるのです。互いに愛しあうことについて、「理想だ」といって棚上げし、愛を諦め、利己的な現実に留まり、罪に妥協することを良しとはされていません。復活の主イエスは「わたしの行くところに、あなたはついてくることはできない」とはもう言われないのです。「わたしに従いなさい」「わたしの愛を宿して生きよ」と言われるのです。そして、私たちも「主よ、どこに行かれるのですか」「わたしにはわかりません」とは言いません。主ご自身が私たちの内にその愛をもって生きておられ、その愛によって私たちは生きているからです。羊飼いの主の声を内側に聞き分けながら、与えられた新しい掟、新しい命の道を選び取っていきましょう。
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